BCAAが意味ないと言われる理由3選！本当に効果がないかを最新の論文で検証

「BCAAは効果なし？」「BCAAの疲労効果は嘘？」などBCAAの効果を体感できるのか疑問に感じている方は多いです。

本記事では、BCAAが意味ないと言われる理由や最新の論文をもとにBCAAの効果について深掘りしていきます。

BCAAは意味ないと言われる理由

「BCAAは効果なし」「BCAAは意味ない」と感じる理由についてBCAAの特徴を踏まえて解説していきます。BCAAの購入を検討している方や購入したものの効果を実感できていない人はぜひ3つの理由を確認してみてください。

BCAA不要論があるから

BCAAが意味ないと言われる理由の1つは、BCAA不要論が存在するからです。

BCAA不要論とは、BCAAに含まれる3つの必須アミノ酸である、バリン・ロイシン・イソロイシン）が特定の役割を果たさないとする理論です。

この理論によると、BCAAを個別に摂取する必要がなく、プロテインやEAAを摂取することで同様の効果が得られるという主張がされています。

アミノ酸	プロテイン	EAA	BCAA
バリン	〇	〇	〇
ロイシン	〇	〇	〇
イソロイシン	〇	〇	〇
メチオニン	〇	〇
フェニルアラニン	〇	〇
スレオニン	〇	〇
トリプトファン	〇	〇
ヒスチジン	〇	〇
リジン	〇	〇
アラニン	〇
アスパラギン	〇
アスパラギン酸	〇
グルタミン	〇
グルタミン酸	〇
グリシン	〇
プロリン	〇
セリン	〇
チロシン	〇

上記の表のようにBCAAはプロテインやEAAなどのアミノ酸が摂取できるサプリメントと比較するとカバーしているアミノ酸の種類が少ないです。他のサプリや食事からでもBCAAは摂れるからBCAAは意味ないと考える方は多いです。

しかし、筋トレなどのハードトレーニングをしている方はプロテインやEAA、食事から1日の必要摂取量を賄うのは困難です。

全体的なアミノ酸バランスに欠如があるから

BCAAが意味ないと言われる2つ目の理由は、全体的なアミノ酸バランスに欠如があるからです。

BCAAのみを大量に摂取することが、他の必須アミノ酸のバランスを崩す可能性があるという意見があります。人間の体は全ての必須アミノ酸をバランス良く摂取することが重要です。

例えば、以下の研究ではBCAAを大量に摂取すると、他の必須アミノ酸の吸収が妨げられる可能性が指摘されています。

BCAAs are transported into the brain via the same carrier that transports aromatic amino acids (AAA; phenylalanine, tyrosine, tryptophan), and competition between BCAAs and AAAs may influence synthesis of some neurotransmitters, notably dopamine, norepinephrine, and 5-hydroxytryptamine (serotonin). Therefore, elevation of the BCAA in blood plasma is able to influence neurotransmitter levels in the brain with effects on behavior and brain function

BCAAは芳香族アミノ酸（AAA、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン）を輸送する同じキャリアを介して脳に輸送され、BCAAとAAA間の競合は、特にドーパミン、ノルエピネフリン、および5-ヒドロキシトリプタミン（セロトニン）などのいくつかの神経伝達物質の合成に影響を与える可能性があります。

引用：Branched-chain amino acids in health and disease: metabolism, alterations in blood plasma, and as supplements

この研究では、被験者がBCAAを多量に摂取した結果、体内のアミノ酸バランスが崩れ、疲労感や集中力の低下が報告されました。食事からアミノ酸を包括的に摂取できていない方は以下の優先順位でサプリメントを摂取しましょう。

適切なトレーニングが必要だから

BCAAが意味ないと言われる3つめの理由は、適切なトレーニングが必要だからです。

BCAAの効果を最大限に引き出すためには、適切なトレーニングが不可欠です。BCAAだけを摂取しても、運動やトレーニングを行わない場合、BCAAの効果は期待できません。

例えば、BCAA摂取と筋力トレーニングを併用することで、筋肉の増強効果が見込めます。しかし、BCAAのみを摂取して筋力トレーニングを行わなかった場合は、筋肉増強効果は得られません。

BCAAは意味ないのか論文から検証してみた！

BCAAを摂取することで運動パフォーマンスの向上や筋肥大促進・体脂肪率減少など様々な効果が囁かれています。ここでは、BCAAの効果に関する論文を徹底的に調べ上げて真実を炙り出していきます。

BCAAの筋合成促進・筋分解抑制効果の真相

BCAAが筋合成を促進し、筋分解を抑制する効果については、多くの研究が行われていますが、結果は一貫していません。

いくつかの研究では効果が認められる一方で、完全な効果を証明するには更なる研究が必要とされています。

BCAAs, particularly leucine, are known to activate the mTOR signaling pathway, which plays a critical role in regulating muscle protein synthesis. However, the effectiveness of BCAAs in this regard is still debated, and they may not be as effective as a full spectrum of essential amino acids in promoting muscle growth.

BCAA、特にロイシンは、筋タンパク質合成を調節する上で重要な役割を果たすmTORシグナル伝達経路を活性化することが知られています。しかし、この点におけるBCAAの効果は依然として議論の余地があり、筋肉の成長を促進するためには、全ての必須アミノ酸を含む完全なタンパク質ほど効果的ではないかもしれません

引用：https://www.nature.com/articles/s41387-022-00213-3.pdf

BCAAの中でも特に「ロイシン」という成分が、筋肉を作るスイッチのような役割をする「mTOR」という経路を活性化します。

しかし、BCAAだけではこのスイッチを十分にオンにできない場合があり、筋肉を最大限に成長させるには他の必須アミノ酸も必要だと指摘されています。

Some studies suggest that BCAAs can reduce muscle protein breakdown following resistance exercise, which could support muscle recovery, but they are not a substitute for a complete protein intake.

いくつかの研究では、BCAAがレジスタンス運動後の筋タンパク質分解を減少させ、筋肉の回復をサポートする可能性が示唆されていますが、完全なタンパク質摂取の代わりにはなりません

引用：https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-017-0184-9

運動後にBCAAを摂取することで、筋肉の分解を減らす効果があるかもしれないという研究結果があります。しかし、筋肉を最大限に回復させるには、BCAAだけではなく、他のタンパク質も一緒に摂取することが推奨されています。

BCAAの運動パフォーマンス向上効果の真相

BCAAが運動パフォーマンスを向上させる効果についても、多くの研究が行われていますが、その効果については賛否両論があります。

A systematic review found mixed results regarding BCAAs’ impact on endurance sports. While some studies showed that BCAA supplementation can help reduce perceived exertion and improve performance in endurance activities, other studies did not find significant benefits. The effectiveness of BCAAs seems to vary depending on the type of exercise and the individual’s overall nutrition.

系統的レビューでは、持久力スポーツに対するBCAAの影響について混合した結果が見られました。いくつかの研究では、BCAAの補給が運動中の疲労感を軽減し、持久力活動でのパフォーマンスを向上させることが示されましたが、他の研究では有意な利益が見られませんでした。BCAAの有効性は、運動の種類や個人の全体的な栄養状態によって異なるようです。

引用：https://link.springer.com/article/10.1007/s11332-019-00542-4

BCAAが持久力スポーツにおいて疲労感を軽減し、パフォーマンスを向上させる可能性がある一方で、その効果は一律ではなく、運動の種類や個人の栄養状態によって大きく異なることがわかります。

したがって、BCAAを摂取する際には、自分の運動スタイルや食事内容を考慮し、効果を確認することが大切です。

BCAAの体脂肪減少効果の真相

BCAAが体脂肪を減少させる効果は多くの論文で肯定的です。

Ingestion of a supplement containing BCAAs while following an 8-week resistance training program resulted in a greater decrease in percent body fat, an increase in lean mass, and 10-RM strength gains on the bench press and squat vs. ingestion of a whey supplement or a sports drink. 

8 週間の筋力トレーニング プログラムを実施しながら BCAA を含むサプリメントを摂取すると、ホエイ サプリメントやスポーツ ドリンクを摂取した場合よりも、体脂肪率の減少、除脂肪量の増加、ベンチ プレスとスクワットの 10 RM 筋力の向上が大きく見られました。

引用：https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-6-S1-P1

8週間のトレーニング期間中にBCAAサプリメントを摂取した人たちが、他のサプリメントを摂取した人たちよりも、体脂肪がより多く減ったことが分かりました。

また、筋肉量が増え、筋力も向上しました。つまり、BCAAを摂取することで、体脂肪を減らしながら筋肉を増やす効果が期待できるということです。

BCAAは意味ないに関するまとめ

ここまで、BCAAは本当に意味があるのかについて論文をもとに解説してきました。

BCAAのあらゆる効果に関しては肯定的な論文と否定的な論文が共存しています。研究結果を鵜呑みにするのではなく、自分の運動内容や食事内容に合わせて効果を確かめていくことが重要です。

BCAAは必須アミノ酸の一部であることを考慮すると、日々の食事からしっかりアミノ酸を摂取した上で、BCAAを追加するのが効果を実感する近道です。