「筋トレでタンパク質はどのくらい摂ればいい?」と悩んでいる人は多いです。
筋トレにおいてタンパク質は、筋肉の修復と成長には欠かせませんが、1日の必要摂取量を摂れている方は少ないのが事実です。
本記事では、筋トレとタンパク質の関係や適性摂取量、摂取タイミング、摂取時のポイントなどを詳しく解説していきます。
筋トレとタンパク質の関係性
筋トレで筋肉量を増やし、体を強化するためには、タンパク質の摂取が欠かせません。特に、筋トレによって破壊された筋繊維を修復して菌合成させるには、1日を通じて適切な量のタンパク質を継続的に摂取する必要があります。
筋トレは筋肉に微細な損傷を与え、その修復過程で筋肉が強化されます。タンパク質は筋肉の主成分であり、筋繊維を再構築するために使われます。
実際に、筋トレにおいてタンパク質がパフォーマンス向上や回復の観点でプラスの影響があることが研究で示されています。
Peri-exercise protein intake, particularly in the post-training period, plays a potentially useful role in terms of optimizing physical performance and positively influencing the subsequent recovery processes
運動後におけるタンパク質摂取が、パフォーマンスを最適化し、その後の回復プロセスに積極的な影響を与える可能性があることがわかっています。
引用:https://www.frontiersin.org/journals/nutrition/articles/10.3389/fnut.2018.00083/full
運動していない人を含めて、筋トレをしている方は1日に十分なタンパク質量を摂取できていない場合が多いです。筋トレする人がタンパク質を十分に摂取しないと、以下のようなデメリットが生じます。
- 筋肉の修復に必要な材料が不足し、トレーニング効果が減少する筋肉量の減少
- 筋分解が進み、筋力や筋肉量の維持が難しくなる
- 筋肉の回復が遅れるので次のトレーニング時に影響が出る
筋トレで筋肥大させるには、食事から質の高いタンパク質を摂取することが必要不可欠です。以下では筋トレの効果を最大化させるタンパク質量や効率的にタンパク質を摂取できる食材を紹介していきます。
筋トレでタンパク質はどれくらい摂るべき?
筋トレを効果的に行うためには、タンパク質の摂取が不可欠です。しかし、筋肉を大きくしたい人と、筋肉量を維持したい人では必要なタンパク質量が異なります。
自分の目標に応じた適切なタンパク質摂取量を知り、効率的に筋肉を育てるための食事を意識しましょう。
筋肉を大きくしたい人
筋肉を成長させるために、体重1kgあたり1.5g〜2gのタンパク質を摂取することが推奨されます。
このため、1日の摂取量はかなり多くなり、朝食から間食、筋トレ後のプロテイン補給まで、食事を計画的に取り入れて摂取する必要があります。
体重70kgの方なら1日105g〜140gのタンパク質を摂取する必要があります。しかし、すべて固形食だけから摂取するのは困難なため、プロテインなどの液体を活用し補充することが大切です。
- 卵3個のオムレツ(約21gのタンパク質)
- 全粒パン2枚(少量のタンパク質とエネルギー源)
- アボカド(健康的な脂質を補給)
- ギリシャヨーグルト200g(約15g)
- アーモンド30g(約6g)
- 鶏胸肉200gのグリル(約40g)
- 玄米150g(少量のタンパク質と炭水化物)
- ブロッコリーとオリーブオイル(ビタミンと健康的な脂質)
- プロテインバー(約20g)
- バナナ(筋トレのためのエネルギー補給)
- プロテインシェイク(25g)
- クエストバー(15g)
- 牛赤身肉150gのステーキ(約30g)
- サツマイモ150g(エネルギー補給)
- ほうれん草のサラダ(ビタミンとミネラル)
- カッテージチーズ100g(約12g)
しっかり筋肥大させたい人は必然的に食事量も多くなりがちです。消化不良を起こさないためにも積極的に食物繊維を摂取するなどタンパク質以外の栄養素をバランスよく摂ることが重要です。
筋肉量を維持したい人
筋肉を維持するためには、体重1kgあたり1g〜1.5gのタンパク質摂取が必要です。
筋肥大を目指す人よりも摂取量は少なめで、朝・昼・晩の3食を通じて達成できるタンパク質量となっています。しかし、それぞれの食事で質の高いタンパク質源を摂取することが大切です。
タンパク質の種類 | 代表的な食品 | 吸収率 | 必須アミノ酸のバランス | 筋肉量維持における役割 |
---|---|---|---|---|
動物性 タンパク質 | 卵、鶏肉、牛肉、魚 | 完全(全ての必須アミノ酸を含む) | 高い吸収率と豊富な必須アミノ酸で筋肉合成をサポート | |
植物性 タンパク質 | 大豆製品(豆腐、納豆)、レンズ豆、ナッツ | 不完全(食品の組み合わせで補う必要あり) | 多様な栄養を提供し、消化負担を分散させる効果がある |
動物性タンパク質だけではなく、植物性タンパク質も取り入れることで、栄養バランスの改善、消化の負担軽減、健康維持、さらには環境への配慮といった多様なメリットがあります。
タンパク質摂取の際には水分補給も忘れずに行うことが大切。
タンパク質は代謝過程で多くの水分を必要とするため、十分な水分を摂取することで、体内の栄養バランスが保たれ、筋肉の維持に役立ちます。
筋トレでタンパク質を多く摂取できる食材
筋トレで効果的に筋肉を増やすには、タンパク質を豊富に含む食材を積極的に取り入れることが重要です。筋肉の修復と成長をサポートするためには、食事からのタンパク質摂取が不可欠です。
タンパク質は筋肉の成長と回復に必要な栄養素であり、質の高いタンパク質源を摂取することで、筋トレの成果が向上します。
動物性タンパク質は必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、体内で効率よく利用されます。
一方、植物性タンパク質も筋肉の成長に寄与し、特に大豆製品は動物性に匹敵する高品質なタンパク質を含んでいます。以下は動物性タンパク質を豊富に含んだ食材です。
食材 | 100gあたりのタンパク質量 (g) | その他の栄養素 |
---|---|---|
七面鳥 | 29 | 低脂肪 |
豚ロース | 27 | 低脂肪 |
牛肉(赤身) | 26 | 鉄分が豊富 |
ツナ | 25 | オメガ3脂肪酸が豊富 |
エビ | 24 | 低脂肪 |
鶏むね肉 | 23 | 低脂肪 |
サーモン | 20 | オメガ3脂肪酸が豊富 |
カッテージチーズ | 11 | カルシウム |
ギリシャヨーグルト | 10 | カルシウム、プロバイオティクス |
卵 | 13 | ビタミンが豊富 |
以下は植物性タンパク質を豊富に含んだ食材です。
食材 | 100gあたりのタンパク質量 (g) | その他の栄養素 |
---|---|---|
ヘンプシード | 32 | オメガ3 & オメガ6脂肪酸が豊富 |
ピーナッツバター | 25 | 健康的な脂肪 |
黒豆 | 21 | 食物繊維 |
アーモンド | 21 | ビタミンEが豊富 |
ヒヨコ豆 | 19 | 鉄分が豊富 |
チアシード | 17 | オメガ3脂肪酸が豊富 |
レンズ豆 | 9 | 食物繊維 |
木綿豆腐 | 8 | カルシウム |
枝豆 | 11 | 食物繊維、ビタミンが豊富 |
キヌア | 4 | 完全タンパク質 |
動物性タンパク質は脂質が低いものが多く、筋肉の成長と同時に体脂肪の管理もしやすい特徴があります。
植物性タンパク質はオメガ3脂肪酸や食物繊維を含む食材が多く、筋肉の回復と健康維持に役立つ多様な栄養素がバランスよく摂取できます。
筋トレでタンパク質を摂取する際のポイント
筋トレで理想の体になる秘訣は、筋肉量を増やしながら脂肪を効率よく減らすことです。タンパク質は筋肉を成長させる重要な栄養素ですが、効果的に摂取するためにはいくつかのポイントがあります。
ここでは、1日の摂取回数や炭水化物との組み合わせ、質の高いタンパク質の選び方について詳しく解説します。
1日の摂取回数を増やす
1日のタンパク質摂取回数を増やすことで、筋肉の合成が効率的に促進されます。
筋肉の合成には、体内に常に一定のアミノ酸が存在することが必要です。1回に多量のタンパク質を摂取するよりも、複数回に分けて摂取することで、アミノ酸濃度を一定に保つことができ、筋肉の成長が持続します。
- 消化吸収が不完全になる
- 腎臓や肝臓に負担がかかる
- 脂肪として蓄積されるリスクがある
消化吸収やアミノ酸を一定に保つためにも、夜だけ大量の肉を食べているという方は朝や昼にも分けてタンパク質を摂取する意識を持ちましょう。
筋トレにおけるタンパク質を摂取するタイミング例を以下の表にまとめました。
摂取タイミング | 推奨摂取量(g) | 摂取理由 |
---|---|---|
起床後 | 20-30g | 睡眠中の筋肉分解を防ぎ、体内のアミノ酸濃度を早期に回復させるため |
朝食 | 20-30g | 朝の活動に備え、エネルギーと筋肉合成をサポートするために、タンパク質を摂取する必要がある |
トレーニング前 | 10-20g | 筋トレ時のエネルギーとタンパク質供給を最適化し、筋肉の破壊を最小限に抑えるため |
トレーニング後 | 20-40g | 筋肉修復と成長を促進し、トレーニング後の回復を早めるため |
昼食 | 20-30g | 昼休憩中、午後の業務や運動に備えて、エネルギーを補給しながら筋肉合成を継続するため |
間食 | 10-20g | 血中アミノ酸濃度を一定に保ち、次の食事までの筋肉分解を防ぐため |
夕食 | 20-30g | 仕事終わりに疲労回復を促し、夜間の筋肉合成をサポートするため |
寝る前 | 10-20g | 寝ている間の筋肉分解を防ぎ、夜間の回復をサポートするため |
特に、筋トレ前後や起床時のタンパク質は筋肥大に直結するため妥協せずに摂取しましょう。
炭水化物とセットで摂取する
筋トレでタンパク質と炭水化物をセットで摂取することで、筋肉の成長やトレーニングパフォーマンス向上に効果的です。
- 筋肉修復と成長を促進:インスリン分泌を促し、タンパク質の吸収を助ける。
- エネルギー補給:炭水化物がエネルギー源となり、持久力を向上させる。
- 筋分解の抑制:血糖値を安定させ、筋肉の分解を防ぐ。
筋トレ前にタンパク質と共に炭水化物を摂れば、筋トレ中のエネルギー源になります。プロテインなどのタンパク質源しか筋トレ前に摂っていない方は炭水化物もセットで摂ることでトレーニングで最後の1回の粘りを感じられるようになります。
筋トレ後、筋肉はエネルギー不足の状態
炭水化物を一緒に摂取することで、体内のグリコーゲン(筋肉内のエネルギー源)が回復し、タンパク質が筋肉修復に集中しやすくなります。
炭水化物はインスリンの分泌を促進し、アミノ酸の筋肉への取り込みをサポートします。
筋トレ前後にタンパク質と炭水化物をセットで摂取する際は消化時間の観点から摂取タイミングが重要!
質の高いタンパク質を選ぶ
筋トレの効果を最大化するためには、質の高いタンパク質を選ぶことが重要です。良質なタンパク質とは食品からしか摂取できない必須アミノ酸がバランス良く配合されていることを意味します。
必須アミノ酸のバランスの良さを表す指標として「アミノ酸スコア」という指標があります。アミノ酸スコアが100に近いほど質の高いタンパク質とされ、筋トレでの筋肉の成長には欠かせません。
以下はアミノ酸スコアが満点の食材をまとめた表です。
食材 | 主な特徴 |
---|---|
卵 | 完全な必須アミノ酸を含む、消化吸収が良い |
鶏肉 | 高タンパクで低脂肪、筋肉合成に効果的 |
牛肉 | 鉄分とタンパク質が豊富、筋肉増強に最適 |
魚(サーモンなど) | オメガ3脂肪酸も豊富で健康に良い |
乳製品(チーズ、ヨーグルトなど) | カルシウムとタンパク質を同時に摂取可能 |
大豆 | 植物性タンパク質でありながらスコアが高い |
プロテイン(ホエイ・ソイ・エッグ) | 吸収率が非常に高く、筋トレ後の摂取に最適 |
筋トレ食材の代名詞でもある鶏肉や卵などはアミノ酸スコアが100で、多くのトレーニーが好んで食べている理由が納得です。
アミノ酸スコアが低い食材もあるので、不足している必須アミノ酸を含む他の食材と組み合わせたり、上記の表にあるような質の高いタンパク質を取り入れることで筋トレの効果を高められます。
筋トレでタンパク質を摂り過ぎると?デメリットは?
筋トレで理想の体を作るためには、適切なタンパク質の摂取が欠かせません。しかし、通常ではあり得ない極端な量を摂取すると体に悪影響を及ぼします。
ここでは、筋トレのタンパク質の過剰摂取によるデメリットについて詳しく解説します。
消化不良や胃腸の不調
筋トレの際にタンパク質を摂り過ぎると、消化器官の処理能力を越えるため、消化不良や胃腸の不調を引き起こしやすくなります。
タンパク質は炭水化物や脂質と比べて消化に時間がかかります。過剰摂取により、消化に必要な消化酵素(プロテアーゼ)の分泌が追いつかなくなります。
その結果、以下の消化不良を起こし、以下のような胃腸の不調が現れます。
- 胃の消化負担の増加
胃酸の分泌が追いつかず、未消化のタンパク質が胃に残り、胃もたれや不快感を引き起こす。 - 腸での分解不全
未消化のタンパク質が腸で発酵し、ガスや腹痛を引き起こす。 - 腸内環境の乱れ
未消化のタンパク質が腸内で悪玉菌を増やし、下痢や便秘を招く。
筋トレしている方のタンパク質摂取は1食あたり20~30g程度に抑え、分けて摂取することが望ましいです。
腎臓への負担
タンパク質を大量に摂取し続けると、腎臓に負担がかかるリスクがあります。筋トレをしていると、体重や筋肉量を増やすためにタンパク質の摂取量を増やします。
過剰なタンパク質は、窒素化合物などの老廃物として体外に排出される際に腎臓が過剰に働く必要が生じ、長期間にわたって腎臓に負担をかけます。これが続くと、腎機能が低下する可能性があります。
特に腎臓に持病がある人がタンパク質を1日あたり体重1kgあたり3g以上摂取し続けると、腎臓への負荷が増加し、慢性腎臓病のリスクが高まります。
健康な人でも、長期的に過剰なタンパク質を摂取することは避けるべきです。
摂取カロリーが増える
タンパク質の摂り過ぎは、筋肉を増やすどころか、余分なカロリー摂取となり、脂肪が増える原因になります。
以下の食材のように脂質が多く含まれるタンパク質源を大量に摂取すると、簡単にカロリー過多になってしまいます。
食材 | タンパク質 (g/100g) | 脂質 (g/100g) | カロリー (kcal/100g) |
---|---|---|---|
ピーナッツバター | 25.0 | 50.0 | 590 |
チーズ | 22.5 | 33.5 | 402 |
サーモン | 20.5 | 13.5 | 350 |
マグロのトロ | 19.7 | 28.0 | 480 |
牛バラ肉 | 17.5 | 40.0 | 500 |
筋トレでタンパク質源を選ぶ際はタンパク質以外の脂質や糖質量もチェックしましょう。1日の摂取カロリーを計算した上でタンパク質を摂取することが大切です。
タンパク質をこまめに摂取して筋トレの効果を最大化しよう!
筋トレの効果を最大化するためには、タンパク質をこまめに摂取することが重要です。筋肉の成長と回復をサポートするため、1日の摂取量を複数回に分けることで効率よく吸収され、トレーニングの成果が向上します。
・筋肉の成長と修復を安定的にサポート
・筋肉の分解を防ぎ、筋量を維持
・体が一度に吸収できる量を超えないため効率的に活用される
・疲労回復を早め、次のトレーニングの準備が整う
・長時間のトレーニングが可能に
効率的にタンパク質を摂取できる食材▲を取り入れて、トレーニングパフォーマンスを高めて効率的に筋肥大しましょう。
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