一部のメディアや広告では、「炭水化物(特に糖質)は悪だ!」と扱われることが多いですが、筋トレで筋肉をつけるには炭水化物が必須です。
ダイエットのプロであるボディビルダーでさえも白米などの炭水化物を摂らないことはありません。世間では炭水化物は敵のように扱われがちですが、正しい摂取方法を学べば筋肥大やダイエット可能です!
この記事では、筋トレに効果的な炭水化物の摂取量やタイミング、おすすめ食材などを徹底解説していきます!
普段忙しい方でもコンビニで手軽に買えるおすすめ炭水化物を紹介!

炭水化物とは?
炭水化物について正しく理解している人は多くないです。簡単に言うと、炭水化物とは日々のエネルギー供給源と捉えてOKです。
体を動かすための燃料として使われるだけでなく、脳や筋肉の働きをサポートする役割も果たしています。
炭水化物の役割

炭水化物は体内でエネルギー源として使われる栄養素です。主にグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられ、運動時や日常生活でのエネルギー消費に使われます。
もう少し詳しく説明すると、炭水化物は消化されるとブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は血糖値を一定に保つ役割を果たし、エネルギーの供給スピードも速いです。
さらに炭水化物が不足すると、体はタンパク質をエネルギー源として使ってしまうため、筋肉の分解を引き起こします。

筋肉のためにも、炭水化物はとても重要な栄養素です!
炭水化物と糖質の違いとは?


炭水化物と糖質を明確に区別できている人は多くないと思います。
結論から言うと、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の2つに分類されます。
糖質は主にエネルギーを供給する役割を担い、食物繊維は消化を助ける働きがあります。



わかりやすく言うと、糖質にはカロリーがあり、食物繊維にはカロリーがありません!
糖質がブドウ糖や果糖などの形で体内に吸収され、すぐにエネルギーとして使われるのに対し、食物繊維は消化されずに腸内環境を整えます。
パンやご飯などは糖質を多く含むため、すぐにエネルギーとして体内に取り込まれます。
一方、野菜や果物に含まれる食物繊維は消化されず、腸内環境を整える作用があるため、便通の改善などに効果的です。
筋トレ(筋肥大)には炭水化物が必須である理由
筋トレをして筋肥大させたいのに、炭水化物を制限している方はいませんか?筋肉をつけたいのに炭水化物を制限していると逆効果です。
ここからは筋トレには炭水化物が必須である理由を解説していきます!
理由①:筋肉を動かすエネルギー源「グリコーゲン」を作るため


筋トレ中の主なエネルギー源はグリコーゲンです。そのグリコーゲンは炭水化物が体内で形を変えて生成されます。
筋トレ中に体内にグリコーゲンがないと、体は必要なエネルギーを迅速に供給できず、パフォーマンスが著しく低下します。
特にスクワットやデッドリフトのような高強度トレーニングでは、持続力がなくなり、トレーニングの効果も十分に得られなくなります。
体内のグリコーゲンが不足する時に起こる、体が筋分解を起こすまでのメカニズムです。
体内で糖質が不足するとどうなる?
筋トレ中のエネルギー源であるグリコーゲンが消耗されると、筋肉内の糖質が不足します。これにより、体は代替エネルギー源を探し始めます。
急なエネルギー需要がある場合、体は次に筋肉内のタンパク質を分解し、エネルギー源として利用します。
分解されたアミノ酸やグリセロールはグルコース新生というプロセスを経て、肝臓で再びグルコース(糖)に変換されます。これにより、筋トレ中のエネルギー供給を補うことが可能になります。
このカタボリズムによって、エネルギーは得られますが、筋肉が減少するため、筋肥大や筋力向上を目指す筋トレには悪影響を与えます。
理由②:アミノ酸の吸収効率が上がるため
炭水化物を摂取すると、インスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げると同時に筋肉細胞のアミノ酸吸収を促進します。
インスリンはタンパク質(アミノ酸)の吸収効率を高める働きがあるため、筋肉の成長と回復が加速します。
筋トレ後にプロテインだけを摂取するよりも、炭水化物を一緒に摂ると、インスリンの分泌が促され、アミノ酸が筋肉に効率よく運ばれます。



プロテイン単体で飲むより、バナナなどの炭水化物とセットで飲むことで、筋肉の修復や成長がより効果的に行われます!
理由②:筋トレ後の回復のため
筋トレによって筋肉が刺激を受けると筋タンパク質が分解されて、アミノ酸が放出されます。
この時に適切な栄養補給を行うと、筋肉は分解された量以上にタンパク質合成を始めるため筋肉がついていきます。
タンパク質の合成は筋トレ後約3時間でピークを迎え、その後48時間まで高い状態が続きます。
この期間はこまめに炭水化物を摂取することで、インスリンの分泌が促進され、筋肉へのアミノ酸の供給が効率化され、傷ついた筋肉の回復に繋がります。
・プロテイン+和菓子
・白米+鶏胸肉
・ギリシャヨーグルトとオートミール
・卵とさつまいも
筋肥大において炭水化物を摂取する際のポイント
筋トレにおいて、炭水化物は重要なエネルギー源です。
炭水化物の摂取量やタイミング、種類を適切に理解しておくことで、より効率的に筋肥大させることができます。
ポイント①:食物繊維の量を意識


筋トレにおいて炭水化物を摂取する際には、食物繊維の量を意識することが非常に重要です。
炭水化物は筋トレのエネルギー源として不可欠ですが、効果を最大限に引き出すためには、単に炭水化物の量だけでなく、食物繊維の量にも注意を払う必要があります。
食物繊維が体に与える良い影響について以下が挙げられます。
- 長時間のエネルギー供給:食物繊維は消化吸収が遅く、長時間のエネルギー供給が可能。
- 血糖値の安定化:食物繊維が血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぐ。
- 満腹感の持続:食物繊維は満腹感を長く保ち、過食を防ぎ、無駄なカロリー摂取を抑える。
食物繊維が豊富な炭水化物は、血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの過剰分泌を抑え、脂肪の蓄積を避けることができます。
さらに満腹感が続くことで間食の誘惑を抑えられるため、無駄なカロリー摂取を抑えることに繋がります。
ポイント②:摂取タイミング
炭水化物の摂取タイミングによって、体内へのエネルギー供給や血糖値の上昇具合が大きく変わります。
具体的には以下のような状況で適切なタイミングを考えることが重要です。
タイミング | 推奨される炭水化物の種類 | 理由 |
---|---|---|
トレーニング前 | 消化が速い炭水化物 | 消化が早く、エネルギーが短時間で吸収され、トレーニングで素早く使用できる。 |
トレーニング後 | 消化が速い炭水化物 | 筋肉のグリコーゲンを速やかに補充するため。 |
次の食事までの間隔が長いとき | 消化が遅い炭水化物 | 消化が遅く、満腹感が長く続くため、空腹感による間食や過食を防げる。 |
- 消化が早い炭水化物の例:白米、うどん、バナナ、スイカ、砂糖
- 消化が遅い炭水化物の例:玄米、オートミール、さつまいも、かぼちゃ、そば
トレーニング前には、消化の速い炭水化物が推奨されています。エネルギーが短時間で体に吸収され、トレーニング中にすぐにエネルギーとして利用できるからです。
吸収の遅い炭水化物は消化に時間がかかり、筋トレ中に消化不良や腹部の不快感の原因に!
次に、トレーニング後にも消化の速い炭水化物を摂取することが重要です。筋トレで消耗した筋肉のグリコーゲンを速やかに補充するためです。
また、次の食事までの間隔が長い場合には、消化の遅い炭水化物を摂取することが推奨されます。血糖値の上昇を緩やかにして空腹感を長時間減らすことに繋がります。
ポイント③:摂取量
炭水化物の摂取量は個人の代謝や活動量によって異なります。ここでは、消費カロリーをもとに1日の炭水化物の摂取量の決め方を解説していきます。
自分の維持カロリー(体重が増減しないカロリー)からタンパク質量と脂質量を引いたものが摂取すべき糖質の量になります。
1日の三大栄養素を設定する上でタンパク質>脂質>糖質の順に決めるのが一般的です。
以下では、炭水化物の摂取量の基準を決定する流れをステップで解説していきます!
最適な炭水化物の摂取量の決め方
- 体組成計を使用して、自分の体重と体脂肪率を把握します。
- 例:体重60kg、体脂肪率15%。
- 体重から脂肪量を引き、除脂肪体重を求めます。
- 計算式:体重 × 体脂肪率 = 脂肪量
脂肪量を体重から引く
例:60kg × 0.15 = 9kg → 60kg – 9kg = 51kg
- 除脂肪体重に35を掛けて、維持カロリーを算出します。
- 計算式:除脂肪体重 × 35
例:51kg × 35 = 1785kcal
タンパク質は、体重1kgあたり2gを目安に設定します。
計算式:体重 × 2g
例:60kg × 2g = 120g
カロリー換算:120g × 4kcal = 480kcal
- 脂質は全体のカロリーの20~30%を目安に設定します。ここでは30%を使用。
- 計算式:脂質量 × 9kcal
例:30g × 9kcal = 270kcal
- 残ったカロリーを糖質で補います。
- 計算式:残りのカロリー ÷ 4kcal
例:残り1035kcal ÷ 4kcal = 250g
これが1日に摂取する糖質量になります。
上記の手順で求められたのは炭水化物でなく、糖質量なので実際に食べる炭水化物の量は糖質量より多くなります。
250gの糖質を確保するにはどのくらいの炭水化物量になるかを様々な食品に例えて表にまとめました。
食品 | 100gあたり糖質量(g) | 250gに相当する量(g) |
---|---|---|
白米 | 37.1 | 674 |
もち | 50.6 | 494 |
バナナ | 22.5 | 1111 |
さつまいも | 29.8 | 839 |
食パン | 44.4 | 563 |
例えば白米を674g食べると、150gの糖質量を摂取したことになります。食材によって含まれる糖質量が異なる点に注意しましょう。
今回の計算によって求められるPFCバランスは以下のようになります。
PFCバランスとは、タンパク質・脂質・炭水化物の比率のことです。PFCバランスを基に食事計画を立てることで、筋肥大や減量を進められます!


炭水化物を摂取して筋肥大・ダイエットに成功している事例
ここからは、炭水化物を大量に摂取しながら筋肉維持とダイエットに成功した事例を紹介していきます!
筋肥大とダイエットのプロであるボディビルダーは、一般人にとってとても良い参考事例になるため、ぜひみていきましょう!
寺島遼さんの炭水化物の摂取方法を紹介!


IFBBプロ寺島遼選手の減量(ダイエット)初期の食事を紹介していきます。
寺島遼選手は一般人よりも筋肉量があり、代謝が良いこともあり、ダイエットとはいえ摂取する炭水化物量が相当多いことがわかります。
一日の食事回数は4回で、全ても食事内容が白米400g(約1.3合)と牛肉200gで統一されています。



プロのフィジーク選手はこの食事を摂っても体重が減っていくんですね…!
食事回数 | 食事内容 |
1食目 | ・白米400g ・牛肉200g |
2食目 | ・白米400g ・牛肉200g ・マルチビタミン ・EAA |
3食目 | ・白米400g ・牛肉200g ・マルチビタミン |
4食目 | ・白米400g ・牛肉200g |
寺島選手は「玄米は体にエネルギーが出ないので基本的に白米を食べている」とのことです。
体脂肪3%まで絞り切る寺島選手が食べている食事からも、炭水化物を抜くことはありえないことがわかります。



寺島選手の食事を見ても分かる通り、脂質をかなり減らしていることがわかります。ダイエットするなら脂質を減らすのがおすすめです!
金子選手の炭水化物の摂取方法を紹介!


YouTubeでも発信しているカネキンこと金子選手の減量期・増量気別の食事メニューを解説しています。
寺島選手同様、減量(ダイエット)中でも炭水化物を十分に摂取し、脂質の量を減らしてカロリーコントロールしています。
炭水化物源としては、白米やバケット・オートミールなど様々な炭水化物から栄養をとっているようです。


筋トレにおすすめな炭水化物(糖質)まとめ
具体的にどのような食材を摂取するべきかを解説してきます!
カテゴリ | 食材例 | 摂取タイミング |
---|---|---|
消化が早い食材 | バナナ 白米 蜂蜜 ベーグル クラッカー もち米 パスタ(白) リンゴ サツマイモ パン | 筋トレ前・筋トレ後 |
消化が緩やかな食材 | 玄米 大麦 全粒パン キヌア 蕎麦 雑穀米 オーツブラン エゼキエルパン 黒米 ジャガイモ | 次の食事までの間隔が長い場合 |
筋トレのパフォーマンスや回復を最大限に引き出すためには、摂取する食材の消化速度が重要です。
- 消化が早い食材:筋トレ前や筋トレ後に最適。体内で迅速にエネルギーとして利用できる食材。トレーニングパフォーマンス向上や、筋トレ後のグリコーゲンの回復をサポートします。
- 消化が緩やかな食材:次の食事までの間隔が長い場合に最適。長時間にわたって満腹感を維持し、血糖値の安定に繋がります。間食や過食の防止にも役立ちます。
筋トレするなら炭水化物を積極的に摂ろう!
世間一般的に、「炭水化物(特に糖質)は悪だ!」と言われることが多く、テレビやネット上でもそのような情報が出回っています。
過剰に炭水化物に拒否反法を示すのは逆に不健康です。
筋トレしている人の場合、炭水化物を摂ることで筋肥大を効率的に進められたり、トレーニング強度が上がって高強度のトレーニングができるようになります。
自身に最適な炭水化物摂取量を理解した上で、怖がらずに積極的に炭水化物を活用していきましょう!