近年、ボディビルやフィットネス競技の人気が急上昇している中で、メンズフィジークの大会に体重制限が導入されました。
この変更により、選手たちは従来の美しいプロポーションや筋肉のバランスだけでなく、体重管理も求められるようになりました。
本記事では、メンズフィジークに体重制限が導入された背景や公式が発表した体重制限表、選手たちの反応について徹底解説します。
メンズフィジークに体重・身長制限が設けられた!
2023年6月8日、IFBBがメンスフィジークに身長・体重制限を設けることを正式発表しました。
また、この新しいレギュレーションが適用されたのは「2023年のオリンピア(2023年11月2-5日)の1週間後のコンテストから」です。
日本で開催されたジャパンプロ(Japan Pro)2023では新ルールが適用されました。

制限はプロに限ったルールで、アマチュア大会は適用外になります。
メンズフィジークの身長における体重のリミットは以下の表の通りです。
身長(cm) | 体重(kg) |
---|---|
162.6 | 75.7 |
165.1 | 78.0 |
167.6 | 80.3 |
170.2 | 82.6 |
172.7 | 84.8 |
175.3 | 88.0 |
177.8 | 91.6 |
180.3 | 94.8 |
182.9 | 98.4 |
185.4 | 101.6 |
188.0 | 105.2 |
190.5 | 108.4 |
193.0 | 111.6 |
195.6 | 114.8 |
198.1 | 117.9 |
200.7 | 121.1 |
200.7以上 | 124.3 |
メンズフィジークの体重制限はクラシックフィジークと比べると約5kg低く設定されています。
▼クラシックフィジークの体重制限
身長(cm) | 体重(kg) |
---|---|
162.6 | 80.3 |
165.1 | 82.6 |
167.6 | 84.8 |
170.2 | 87.1 |
172.7 | 89.4 |
175.3 | 92.5 |
177.8 | 96.2 |
180.3 | 99.3 |
182.9 | 103.0 |
185.4 | 106.1 |
188.0 | 109.8 |
190.5 | 112.9 |
193.0 | 116.1 |
195.6 | 119.3 |
198.1 | 122.5 |
200.7 | 125.6 |
200.7以上 | 128.8 |
以下の記事では、メンズフィジークとクラシックフィジークの違いを解説しています。

メンズフィジークに体重・身長制限が適用された理由や背景
IFBBプロリーグ副会長のタイラー・マニオン氏は、IFBB YouTubeで今回の決定に至った経緯と理由を解説しています。
タイラー氏は「クラシックフィジークは身長・体重制限を設けることで成功してきた。メンズフィジークでも制限を設けることで選手の肥大化を阻止し、他カテゴリーとの差別化を狙いたい。」と話していました。

近年叫ばれるメンズフィジーク選手の肥大化。
審査が曖昧になりがちなボディビル競技として身長・体重という明確な審査基準を確立し、メンズフィジークの規模拡大を狙っているのではないかと推測します。
以下の記事では、2023年5月に行われたマイアミプロ優勝者「アンドレファーガソン」について解説しているのでぜひご覧ください。

メンズフィジークの現在のトレンド
2022年のミスターオリンピアからメンズフィジークのトレンドが大きく変わりました。
2021年まで幅を利かせていたバルキーな選手たちが次々と順位を落とし、バランス派の選手が上位を占めました。

バランス派の代表格が「エリン・バンクス」です。今回の新ルールが発表される少し前から、メンズフィジークのトレンドの変化が見られます。
これからのメンズフィジークの動向
タイラー氏曰く、「メンズフィジーク選手がクラシックフィジーク選手の中に混ざった場合、“場違いな感じ”がするべき。」だそう。
2022年のオリンピアでもはっきりした通り、これからのメンズフィジークはバランス>バルクという明確な序列ができると予想しています。

またプロ選手ともなると、トレーニングを続けていると筋肉は嫌でも肥大します。
したがって1人の選手が時代を築く期間がより短くなり、選手の入れ替わりが激しくなると筆者は考えています。
メンズフィジークの体重・身長制限に対する反応
プロメンズフィジーク選手のRamses Rams(ラムセス・ラムス)氏は、「新ルールによってメンズフィジーク選手たちは足を鍛えなくなり、さらに体格が不均衡になってくるだろう。」と述べています。
実際、同じような懸念を表明している選手たちはたくさんいます。
しかし、タイラー氏は「新しい基準では不釣り合いな体格は評価されない。」と明言しており、全身のトータルパッケージの美しさは大前提のようです。
以下では、日本のメンズフィジーク選手の体重制限に対する反応を紹介していきます。
- JINさんの反応
- カネキン選手の反応
JINさんの反応

JINさんは、メンズフィジークの体重制限導入で本人やアジア人選手にとって有利に働く可能性が高いと考えています。
異常なバルクを持つ選手が制限され、フィジーク本来の魅力である美しさや洗練された体型が維持されるとしています。
一方で、JINさんはメンズフィジークの体重制限の導入によって、フィジーク選手が下半身のトレーニングをさらに軽視するのではないかと指摘しています。
また、クラシックフィジークへの転向が難しくなる可能性についても触れ、特に下半身の筋肉を発達させる時間が減ることで、クラシックフィジークを目指す選手がハードルを感じるのではないかと考えています。
カネキン選手の反応

カネキン選手は、メンズフィジークの体重制限が「日本人に有利」とする意見に疑問を呈しています。
メンズフィジークの体重制限は選手のサイズ拡大を防ぐために設けられ、2022年オリンピアトップ10の身長と体重バランスを基準にしていると説明し、国籍による有利・不利はないと強調しています。
さらに、カネキン選手は体重制限により「骨格ゲーム」が加速すると分析しています。特にオリンピアトップレベルでは、選手の骨格の優劣が競技成績に大きく影響を及ぼすと考えています。
一方で、フィジーク選手が足のトレーニングを軽視する可能性については、バランスが取れない選手は自然と淘汰されるため、懸念は少ないとしています。
メンズフィジークは骨格の要素が強くなる!?【まとめ】
筆者個人的な意見としては、今回の新ルールにより選手の骨格への依存度が大きくなると考えています。
たくさん筋肉をつけてごまかしてきた選手は見抜かれ、生まれつきの骨格の良さや筋肉の形が重要になってくるのではないでしょうか。
時代とともに変化が激しいボディビル競技。新しい基準を受け入れ、新ルールを楽しむことがボディビルファンに求められることではないでしょうか。
メンズフィジークの体重・身長制限に関するよくある質問
- メンズフィジークの身長・体重制限はいつから適用されるの?
-
2023年11月のオリンピア終了後の大会から適用され、日本では同年のジャパンプロで初導入されました。
適応されたメンズフィジークの体重制限に関する表はこちら▲でまとめています。
- メンズフィジークの身長・体重制限への人々の反応は?
-
選手たちからは「美しいプロポーションの維持が期待される」という肯定的な声と、下半身トレーニング軽視への懸念が挙がっています。
日本のメンズフィジーク選手の体重制限に対する反応はこちら▲でまとめています。