「ダイエットのつもりで筋トレしたら体重が増えた」と悩んでいる人は多いです。
筋トレにおける体重増加は筋トレ初期に見られる一般的な減少です。筋トレでの体重増加は長期的に見るとメリットがたくさんあります。
本記事では、なぜ筋トレで体重が増えるのかや体重増加のメリット、体重を減らしながら筋トレを進める方法などを詳しく解説していきます。
筋トレで体重が増えるポジティブな理由
筋トレを続ける中で、体重が増えることがありますが、これは筋肉の成長や身体の変化に伴うポジティブな現象です。体重増加を心配するのではなく、その理由を理解することで、健康的な体づくりに役立てましょう。
筋肉量が増えるから
筋トレで体重が増える主な原因として、筋肉量が増えていることが考えられます。筋トレを継続して筋肉がついて来ているので良い反応だと言えます。
筋肉は脂肪よりも密度が高く、同じ体積でも重さが異なります。
言い換えると、筋肉量が多い体重60kgの方と脂肪の割合が多い体重60kgの方を比較すると前者の方が細く引き締まった見た目になります。
体内水分量が変化するから
筋トレを行うと、体内の水分量が変化し、体重が増加します。筋トレをすると、筋肉は微細な損傷を受け、その修復過程で水分を保持しようとします。
筋肉量が増えると、グリコーゲン(エネルギー源)が増加し、そのグリコーゲンが水分を引き寄せるため、一時的に「むくみ」が発生することがあります。特に初めての筋トレや強度の高いトレーニング後にこの現象がよく見られます。
また、体脂肪が高いとむくみが目立つことがありますが、筋トレを続けることで血流が改善され、むくみが軽減される効果があります。一時的な水分によるむくみを軽減する方法として以下が有効です。
- 水分をこまめに摂取
- 入浴やマッサージで血行を促進する
- 塩分の摂取を控える
むくみは筋肉の回復に伴う一時的な水分保持が原因です。適切な栄養管理や日常的な運動を取り入れることで、むくみを軽減し、体の水分バランスを整えられます。
食事量が増えるから
筋トレで体重が増える理由として、エネルギー消費が増えたために食事量が増えることが考えられます。筋トレでの活動代謝だけでなく、基礎代謝も向上します。
筋トレを継続している人ほど基礎代謝が増えたその結果、エネルギー消費が増加し、筋肉の修復や成長に必要な栄養素を補給するため、自然と食事量が増加します。
消費エネルギー以上に摂取カロリーを摂ると体重増加につながる
どうしても筋トレで体重が減らない方は、以下の記事で紹介している1~2ヶ月で体重を減らすテクニックを参考にしてみてください。
筋トレで体重が増えるメリット
筋トレは、筋肉を増やすだけでなく、基礎代謝や骨の健康、運動パフォーマンスにも大きな影響を与えます。体重が増えるという変化は、筋肉や骨の強化に関連し、健康的な体づくりに寄与します。
以下では、筋トレで体重が増える身体的メリットについて詳しく解説していきます。
基礎代謝が良くなる
筋トレによって筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、エネルギー消費が増えます。筋肉は脂肪よりも多くのエネルギーを消費します。
そのため、筋肉量が増えることで基礎代謝が向上し、日常生活でも消費カロリーが増えます。これにより、ダイエットや疲労の観点から様々な効果があります。
- 食べても太りにくくなる
- ダイエットの効果が持続する
- 体のエネルギー効率が良くなって疲れにくくなる
筋トレを習慣にしている人は、安静時でも消費するカロリーが多いため、体重が増えにくくなり、逆に脂肪を燃やしやすくなります。基礎代謝が上がることで、ダイエット中の効果が高まりやすいです。
基礎代謝を上げるためには、全身の筋肉をバランスよく鍛え、継続して筋トレを行うことが重要!
骨密度が高くなる
筋トレは、筋肉だけでなく骨にも大きなメリットをもたらします。特に骨密度の向上は、長期的な健康に非常に重要です。筋トレによって骨に強いストレスがかかり、骨が強化され、骨密度が増加する可能性があります。
筋トレで筋肉が付く→体重が増える→骨密度が上がる
スクワットやデッドリフトを行うと、体全体に大きな負荷がかかり、特に脚や腰の骨に強い刺激が加わります。この刺激により、骨が強くなり、骨密度が向上します。
骨密度を高めるためには、定期的な筋トレと、カルシウムやビタミンDを含むバランスの取れた食事が重要です。また、骨に十分な刺激を与えるために、負荷の高い運動を取り入れることが推奨されます。
運動パフォーマンスが向上
筋トレによって体重が増加すると、筋力や持久力が向上し、運動パフォーマンスが大きく向上する。
筋肉量が増えることで、体はより大きな力を発揮しやすくなり、運動において優れたパフォーマンスを発揮できます。また、筋肉の成長に伴い、持久力やスタミナも向上するため、長時間の運動でも疲れにくくなります。
例えば、ランナーやサッカー選手が筋トレを取り入れると、筋力アップによりスピードや持久力が向上し、試合でのパフォーマンスが大きく改善されます。
パワーリフターやボディビルダーも、筋肉量を増やすことで高重量を扱いやすくなり、競技力が向上します。運動パフォーマンスの向上には、筋力トレーニングだけでなく、バランスの取れた食事と適切な休養も欠かせません。
筋トレで体重はいつから増える?
筋トレを始めると体重に変化が現れるタイミングが気になる方は多いでしょう。筋肉の修復や成長に伴う一時的な体重増加は誰にでも起こり得ますが、その変化は個人差があります。
以下では、体重の変化がどのタイミングでどのように起こるのかを段階的に解説します。
翌日
筋トレ翌日は、筋肉の修復過程で体内に水分が蓄積され、一時的に体重が増えることがあります。筋トレにより筋肉が微細な損傷を受けると、体はその修復過程で水分を保持する傾向があります。
このため、筋肉の回復を促進するために一時的な炎症や水分保持が生じ、結果として体重が増加することがあります。特に初めての筋トレや高強度なトレーニングを行った際には顕著に見られる反応です。
例えば、筋トレ初心者が強度の高いトレーニングを行った場合、筋肉が損傷し、翌日には体内に蓄えられた水分によって体重が500g~1kg程度増加することがあります。
この体重増加は一時的であり、筋肉の修復過程に関連する自然な反応です。トレーニングを継続し、適切な栄養と休息を取ることで長期的な成長が期待できます。
1ヶ月後
筋トレ開始後1ヶ月程度は、筋肉量の増加と体内水分の変化により、体重が増えることが多いです。筋トレによって筋肉が発達し始めると、筋肉は水分を保持しやすくなり、体重に若干の増加が見られることがあります。
筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり、脂肪が燃焼されやすくなります。この時期は、体脂肪率の減少と筋肉の発達が同時に進むため、体重が増えても見た目は引き締まることが多いです。
1ヶ月後、体重は500g〜2kg程度増えることがありますが、これは筋肉量の増加が主な要因です。
例えば、筋トレを週3回以上行い、食事の栄養バランスにも気を配っている人は、体脂肪が減少し、体重が増えたにも関わらずウエストが引き締まるという現象を経験することが多いです。
この段階で体重増加を過剰に気にする必要はありません。筋肉の発達による基礎代謝の向上が続くため、体重以上に見た目に大きな変化が現れます。
3ヶ月以降
筋トレを継続して3〜6ヶ月経過すると、筋肉量の増加による基礎代謝の向上によって体重の減少を体感できる方が増えます。この時期になると筋肉量の増加が安定し、基礎代謝がさらに向上します。
結果として、同じ食事量でも脂肪が効率的に燃焼され、体重が減少し始める傾向にあります。
ただし、体重減少の速度はトレーニングの強度や頻度、食事の管理に大きく左右されます。例えば、週4回の筋トレを3ヶ月間続け、食事管理も適切に行っていた場合、筋肉量の増加に伴い、体重が1〜3kg減少します。
見た目にも筋肉が引き締まり、体脂肪が減少することで、よりスリムなシルエットが得られるでしょう。
無理なダイエットによる急激な体重減少は筋肉量を減らし、基礎代謝を低下させるリスクがあります。継続的なトレーニングを行い、無理のないペースで体重をコントロールすることが重要です。
ピラティスなどのエクササイズを取り入れることで、体のバランスを整えながら長期的に体重管理ができます。これにより、体重の増減のプロセスを理解し、計画的な筋トレを続けることで、見た目にもポジティブな変化が現れます。
性別ごとの体重変化
筋トレによる体重の変化は、性別によっても異なる特徴があります。男性と女性ではホルモンの違いにより、筋肉の増加や体脂肪の減少のペースが異なることが多いです。ここでは、男女別に筋トレ後の体重変化を解説します。
男性の体重変化
男性は筋トレを開始すると、比較的早い段階で筋肉量が増加し、体重も増えることが多いです。男性はテストステロン(男性ホルモン)の分泌が多いため、筋肉の発達が女性よりも速い傾向にあります。
このため、筋トレを始めると筋肉量が増え、初期段階では体重が増えることが多いです。筋肉量が増えることで基礎代謝も上がり、脂肪が燃焼しやすくなるため、筋肉量が増えるにつれて体脂肪も減少していきます。
例えば、週4回の筋トレを続けている男性は、1ヶ月で体重が1〜2kg増えることがあります。これは筋肉量の増加によるもので、体脂肪が減少する一方で、筋肉量が増えて見た目が引き締まることが多いです。
男性は筋肉量の増加によって基礎代謝が高まりやすいため、無理な食事制限をせず、バランスの取れた食事を心掛けることで健康的な体重管理が可能です。
女性の体重変化
女性は筋トレをしても急激に体重が増加することは少なく、筋肉量の増加に伴って見た目が引き締まることが多いです。女性は男性に比べて筋肉のつき方が緩やかであり、体重の増加もゆっくりです。
エストロゲン(女性ホルモン)の影響で、筋肉よりも脂肪が燃焼しやすいため、筋トレを続けることで体重は大きく増加せず、むしろ引き締まった体型になることが多いです。
女性が週3回の筋トレを行い、1ヶ月後に体重は変わらなくても、ウエストやヒップラインが引き締まるといった変化が見られることがあります。
3ヶ月以上継続することで、筋肉量が少しずつ増え、体脂肪率が下がり、見た目がさらに引き締まっていくことが多いです。
女性は筋トレをしても筋肉がつきすぎる心配は少なく、見た目に引き締まった効果が現れるため、ダイエットやボディメイクに最適です。
無理な食事制限を避け、筋肉量を維持しながら体脂肪を減らす食事プランを意識することで、効果的に体重を管理できます。
筋トレで筋肉量を増やしながら体重を減らす方法
筋トレで理想の体になる秘訣は筋肉量を増やしながら助脂肪作業(脂肪を取り除く)を行うことです。実際にボディビルダーやアスリートは減量期という期間が存在し、筋肉量を減らすことなく体を絞っていきます。
ここでは、筋肉量を増やしながら体重を減らす方法を2つ伝授していきます。以下の方法を継続すればリバウンドするリスクを大幅に減らせ、長期的に理想の体を維持できます。
有酸素運動を取り入れる
有酸素運動は脂肪をエネルギー源として利用し、筋肉量を維持しながら体脂肪を燃焼させる最適な方法です。特に筋トレと組み合わせると、体重減少の効果が高まります。
【心拍数を110~130に保つ】
脂肪燃焼に最適な心拍数であり、過度に上げると糖質がエネルギーとして優先されるため、脂肪燃焼効果が下がる
【運動時間は20分以上を目安に】
20分以上の継続が脂肪燃焼を効果的に促進する。最大90分まで行うのが推奨される。
【運動時間は20分以上を目安に】
糖質が少ない状態で行うことで、脂肪をエネルギーとして利用しやすくなる。
筋トレに有酸素を組み合わせるなら筋トレが休みの日の朝イチでのタイミングがおすすめです。起床時は低血糖状態なので、何も食べない状態で20~30分間有酸素運動を行うことで直接的に体脂肪を燃やせます。
体脂肪を落とす食事法を取り入れる
筋トレで筋肉量を保ちながら体脂肪を落とすテクニックはボディビルダーが行う減量時の食事法がおすすめです。食事法で意識すべきことはたくさんありますが、その中から初心者でも始めやすいテクニックを3つ厳選し、解説していきます。
- 高タンパク、低カロリーを意識する
- 脂質の質を高める
- 食物繊維の摂取を増やす
カロリー制限ダイエットは一般的ですが、闇雲に摂取カロリーを削ると筋肉の成長に必要な栄養素が不足して筋肉が付かないことがあります。
筋肉量増加による体脂肪燃焼は非常に大切なので、しっかりとタンパク質を確保できる食事メニューを考える必要があります。
脂質と聞くと「太る」というイメージを持たれがちですが、質の高い脂質の摂取は、健康的なダイエットや体脂肪減少に役立ちます。
脂質の種類 | 効果 | 多く含む食材 |
---|---|---|
中鎖脂肪酸(MCT) | 即座にエネルギーとして使われ、体脂肪として蓄積されにくい | ココナッツオイル、MCTオイル、パームカーネルオイル |
不飽和脂肪酸 | 血中コレステロールを低下、心臓血管の健康を促進 | オリーブオイル、アボカド、ナッツ類 |
食物繊維は腸内環境を整えて代謝を促進します。現代人は食物繊維の摂取が足りていない傾向にあるので、野菜や穀物などから毎日摂取する必要があります。
しかし、野菜から1日必要量を摂取しようとすると相当な量なので現実的ではありません。そんな方は白米に「スーパー大麦」を混ぜると簡単に食物繊維が確保できます。
代謝を効率的に上げられる筋トレメニューを取り入れる
代謝を効率的に上げるためには、大腿四頭筋や背中の広背筋、胸の大胸筋といった大きな筋肉を中心に鍛えることが効果的です。これにより、全身のエネルギー消費量が増加し、基礎代謝が高まり、効率よく脂肪を燃焼できます。
大きな筋肉は、体の中で最もエネルギーを消費する部分です。これらの筋肉を鍛えることで、日常生活や安静時でも消費されるエネルギー量が増え、代謝が向上します。
筋肉を鍛えることによって、筋肉自体が脂肪よりも多くのカロリーを消費するため、長期的に見て体脂肪率の減少に繋がります。
さらに、大きな筋肉をターゲットにすることで、運動後の「アフターバーン効果」(運動後もエネルギー消費が続く現象)が強化され、代謝が持続的に高い状態が維持されます。
- スクワット
大腿四頭筋と臀筋を中心に全身を使う代表的な筋トレメニューで、代謝向上に大きな効果を発揮します。 - デッドリフト
背中の広背筋や腰、脚の筋肉を同時に鍛えることで、全身の代謝を効率的に上げられます。 - ベンチプレス
大胸筋、三角筋、上腕三頭筋などの上半身の大きな筋肉を鍛えるため、エネルギー消費が高まり、基礎代謝もアップします。
さらに、代謝を効率的に上げるためのトレーニングとしてHIIT(高強度インターバルトレーニング)も有効です。HIITは短時間で高強度の運動を行い、その後に休息を挟むトレーニング方法です。
大きな筋肉を使った運動と組み合わせることで、次のような効果が期待できます。
- 心肺機能の向上
- 短時間でのエネルギー消費が大幅に増加
- 運動後も代謝が高い状態を長時間維持できる
このように、大きな筋肉を鍛える筋トレとHIITを組み合わせることで、効率的に代謝を上げ、脂肪燃焼効果を最大化することが可能です。
筋肥大しやすい回数や頻度でトレーニングを行う
筋肥大を目指すためには、8~12回の反復回数と、週に2~3回の頻度でトレーニングを行うことが効果的です。これにより、筋肉に適切な負荷をかけつつ、アフターバーン効果を活かして代謝を高め、筋肉の成長を促進できます。
また、週に2~3回の頻度が最適な理由は、トレーニング後の「アフターバーン効果」にあります。
筋トレ後、体はエネルギーを補充するために通常よりも多くの酸素を消費し、カロリーを燃焼し続けます。この効果は24〜48時間持続するため、週に2~3回のトレーニングで代謝を高い状態に保ちつつ、十分な回復期間を確保することが可能です。
- ベンチプレス(8~12回 x 3セット)
大胸筋を鍛え、適切な回数と負荷で筋肥大を目指します。アフターバーン効果により、トレーニング後もカロリーを燃焼し続け、効率的に筋肉が成長します。 - スクワット(8~12回 x 3セット)
大腿四頭筋や臀筋をターゲットに、週に2~3回行うことで、筋肉を効果的に刺激しながらアフターバーン効果で代謝を維持します。 - デッドリフト(8~12回 x 3セット)
広背筋や下半身の筋肉を鍛えることで、全身の筋肥大を促進し、トレーニング後の代謝が高い状態を持続させます。
筋トレ初心者の方は、全身法でのトレーニングをおすすめします。全身法は1回のトレーニングで全身の主要な筋肉を鍛える方法です。上記の筋トレメニューを中心に週に2~3回の頻度で行うことで、効率的に筋肥大と代謝の向上が期待できます。
筋トレの成果は総合的な判断が大事
筋トレをして体重が増加する場合、それは脂肪が増えたのではなく、筋肉量や水分保持などが原因であることがほとんどです。
そのため、体重計の数値だけでなく、体組成や見た目、服のフィット感などを総合的に判断し、自分の体の変化を正確に捉えることが重要です。
筋トレしながらも体重を減らすには、筋肉量を保ちながら以下の体脂肪を減らすテクニックを実行することが大切です。
- 筋トレオフの日に有酸素運動を取り入れて体脂肪を直接燃焼
- ボディビルダーの食事法でリバウンドのリスク軽減
- スクワットやデッドリフトなど、大きな筋肉を使うトレーニングが効果的
- 8~12回の高負荷トレーニングを週に2~3回行うと筋肥大が促進
筋トレで体重が増えることが必ずしも悪いことでないことを理解し、長期的な視点で筋肉量の増加や体組成の改善を目指すことが、筋トレの成功につながります。